ケーススタディ

採用課題、解決の第一歩はなんと「VMVの見直し」だった──老舗SIer「メディアフォース」のリブランディング、1年以上にわたったプロジェクトの成果とは?

採用がイマイチうまくいかない──。そう悩む企業は少なくないでしょう。

2025年に創業40周年を迎えたシステム開発の老舗企業、株式会社メディアフォースも採用したい人物像と候補者とのギャップに悩んでいました。

「採用ブランド」に課題を感じ、グッドパッチとプロジェクトをスタートした同社ですが、まず手をつけたのはなんとVMV(Vision / Mission / Value)の見直し。

一見すると、採用と関係ないようにも見える地点から始まったこの取り組みは、ロゴのリニューアルやブランドステートメントの開発、コーポレートサイトのリニューアル、そして採用サイトのリニューアルと広がり、1年以上にもわたる大プロジェクトになりました。

インタビューやワークショップなどを通して、核となるキーワード「熱量」を導き出したプロセスには、デザインが組織の文化を変容させるヒントが詰まっていました。プロジェクトを牽引したメディアフォースのお二人に、その激動の舞台裏を伺いました。

<話し手>
株式会社メディアフォース ソリューション事業部 副事業部長 森さん
株式会社メディアフォース コーポレート本部 本部長 家喜さん
Goodpatch BXコピーライター 稲田
Goodpatch BXデザイナー 中林

「採用課題を解決したい」のに、VMVの見直しからプロジェクトがスタートした理由

──VMVの開発から、コーポレートサイト、採用サイトのリニューアルまでさまざまな取り組みを行ったプロジェクトですが、きっかけはどのようなものだったのでしょうか。

メディアフォース 家喜さん:
もともとは、私たちが採用したい人物像と、実際に入社してくる人材との間にギャップが生まれていた、という採用の課題があり、森が「ブランディングを進めるべきだ」と提案したところからスタートしました。SIerとして長年培ってきた伝統を大切にしながらも、それを現代風に形作り、自分たちの良さを求職者に正しく伝える必要があると感じていました。

株式会社メディアフォース コーポレート本部 本部長 家喜さん

株式会社メディアフォース コーポレート本部 本部長 家喜さん

メディアフォース 森さん:
システムインテグレーション(SI)事業でプライム(元請け)となる案件の割合が高まっているほか、自社開発プロダクトも含めたデータマネジメントソリューション(SOL)事業も伸びており、現在はお客さまと直接コミュニケーションを取る仕事が増えています。そうなると、エンジニアは「会社の顔」。これまで以上に重要な役割を担うことになります。会社の顔を担える人材を採っていきたいという思いがありました。

──今回、他社と比較検討することなく、グッドパッチにお声がけいただいたと伺っています。その理由や、私たちに期待していたことを教えてください。

メディアフォース 森さん:
実は以前、プロダクトのWebサイト制作について相談させていただいたことがあるんです。その際に、グッドパッチの方から「ビジョンやミッションなどプロダクトの本質から考えるべきで、表層デザインのみの依頼であればお受けできない」と言われたことがあり、それが強く印象に残っていたんです。逆に言えば、本当に価値あるものを共創するなら、そこまで深く入り込むことが不可欠なんだと刻まれました。

──確かにグッドパッチが大切にしていることではあるんですが、失礼をいたしました……。社内の手続き的に他社と比較しなくてもよかったんですか?

メディアフォース 森さん:
過去にも、コーポレートページのリニューアルなどで、何度か外部に依頼したこともあったのですが、当社については表面的な理解で終わってしまい、例えばサイト上の文章などは結局自分たちで内容を書き直すことが多かったんです。そのため、当時はパートナー企業に対する期待が低く、比較検討すること自体にあまり意味を感じていなかったのかもしれません。私自身は「グッドパッチの皆さんでダメなら、どこに頼んでもダメだろう」と思っていました。

株式会社メディアフォース ソリューション事業部 副事業部長 森さん

株式会社メディアフォース ソリューション事業部 副事業部長 森さん

──ありがとうございます。「採用課題を解決したい」というリクエストに対して、VMVの見直しから始めるというのは、一見関係がないように見えることもあって、結構勇気がいるというか、難しい判断だったのではないかと思いますが、その点はいかがでしたか?

メディアフォース 家喜さん:
確かに、最初にグッドパッチの皆さんから提案をされたときは驚いた部分もあったのですが、言われてみれば「会社がどうなりたいのか」というメッセージがコーポレートサイトから伝わってこないというのは納得感がありました。先にコーポレートの方から見直すべきだろうと。

2025年に創業40周年の節目を迎えたことや、数年前に現社長の加藤が2代目代表になったことなど、コーポレートイメージを根本から定義し直すのに良いタイミングだったと思います。ただ、当社にはこうした無形資産への投資の前例がなかったため、社内には効果に対して懐疑的な声もありました。

私はプロジェクトの成功のためには、グッドパッチの皆さんに自由に動いてもらうことが大事だと思いまして、皆さんからの提案を「評価」するのではなく、私たちがどう「受け止めるか」、もっと言えば、皆さんを信じて自分たちがうまく「踊る(身を任せる)か」が大切なんだと、社内に理解してもらうことを意識しましたね。

Goodpatch 稲田:
VMVの見直しから始めるという提案が通ったときは、うれしさと共に正直びっくりした部分もありました(笑)。グッドパッチのクライアントはどの企業様も協力的で、高い意欲をお持ちですが、「自分たちがどう踊るかだから」と言っていただけたのは初めてです。面白くなりそう、大きなことが実現できそうだという予感がしていました。

先に仕様を固める「真面目さ」を突き抜け、「熱量」というキーワードが生まれるまで

──プロジェクトはまず、VMVの開発からスタートします。どのように進めていったのでしょう?

Goodpatch 中林:
まずは社長や各事業部のキーパーソンへのインタビューですね。加藤社長へのインタビューでとんでもない情報量と熱量を目の当たりにし、「すごい会社だな」と圧倒されたのを覚えています。

Goodpatch 稲田:
加藤社長から「最初にお伝えしたいことがあります」と、自ら1時間近くかけて今の想いや事業の未来像をプレゼンしていただいて。ちょうど年間発表資料などをまとめていたタイミングだったようで、それを私たちに共有してくださったんですよね。

Goodpatch 中林:
キーパーソンのグループインタビューにおいても、プロジェクトに対する皆さんの熱い思いを感じることができました。

メディアフォース 森さん:
過去に外部の方にインタビューしてもらったものの正確に伝わらなかった経験があるので、当時はみんな「正しく伝えなきゃ」「正確に理解してもらおう」という思いが強かったんです。

インタビューが盛り上がりすぎて時間が足りなくなり、参加したメンバーからは「全部話し切れていないけど、本当に大丈夫か」と不安の声が上がるほどでした。ある意味、SIerらしい「仕様を固める」という姿勢が表れてしまったところだったかもしれません。

──次に実施されたのが、若手と経営層を対象にした大規模なワークショップでした。30名もの若手社員を一堂に集めたのは、メディアフォースの皆さんからの提案だったそうですね。

メディアフォース 家喜さん:
はい。これからの会社を作る若手が中心であるべきだし、幹部は昔を知りすぎているが故に、それが未来を考える上での「ノイズ」になってしまうのではないかという懸念があったからです。

この若手社員向けのワークショップは非常に盛り上がりました。SI事業部とSOL事業部が合同で何かをすることはほとんどなかったので、その点でも良い機会になったと思います。

若手社員向けのワークショップの様子

若手社員向けのワークショップの様子

Goodpatch 稲田:
ワークショップでは「将来どうありたいか」といった抽象度の高い問いを扱うのですが、直接投げかけるのではなく「もし、この先の未来でメディアフォースが雑誌に取材されるとしたら」など、問い方を工夫してキーワードを出していきました。ロジックを大切にする仕事をしている皆さんにとって慣れない思考法だったのか、戸惑わせてしまった場面もあったかなと……(笑)。

メディアフォース 森さん:
おっしゃる通り、前半の「これまでを振り返る」ワークは非常に盛り上がったのですが、後半の「未来を考える」段階になると頭を抱えている人も多かったですね。いかに自分たちが、若手に未来を考える機会を与えられていなかったか、組織として大きな学びになりました。

──ワークショップの中で、VMVの軸となるキーワードが見つかったのでしょうか?

Goodpatch 稲田:
ワークショップ中に直接キーワードが出てきたわけではなかったですね。インタビューやワークショップを通じて、メディアフォースの皆さんは単に「システム」を作っているのではなく、顧客の課題を考え抜き、より良く変わっていくための「仕組み」を作っているんじゃないか、という考えが強くなっていきました。時に顧客にとって耳が痛くなるようなアドバイスもするし、依頼された以上のことにも取り組む。「顧客のために本当に必要なことは何か」を自分たちで考えて、解決しようとする意識が高いと感じたんです。

もっと皆さんの仕事の本質を表現できる言葉はないだろうか、と悩んでいたときに、たまたま中林との雑談の中で「熱量」という言葉が出てきて。「あれ、いいんじゃない?」とピンときました。仕組みを動かす「燃料」とも、メディアフォースの皆さんの「熱意」とも捉えられるんじゃないかと。

メディアフォース 森さん:
「熱量」という言葉を提案されたときに、僕は率直に「確かにそうだな」と思ったんです。一方で、当時のコーポレートカラーや会社に対する語り口は「クールで知的な青」「冷静」というイメージだったので、社内のメンバーに受け入れられるのか、不安はありました。

メディアフォース 家喜さん:
稲田さんにオフィスに来てもらい、幹部陣で1時間以上議論したんですよね。なぜ「熱量」なのか、「熱意」や「熱源」でもいいんじゃないかといったことを延々話して。もう今日は決まらないかなと思っていたら、会議終了の数分前に「やっぱり『熱量』だ」と全員が納得できた。議論し尽くして、否定する材料がなくなった感じでした。

「熱量」の由来の説明

ナラティブはVMVを正しく理解するための「解釈のガイドライン」

──社内に「熱量」というキーワードを理解・浸透させるために、どんな施策や工夫をしましたか?

Goodpatch 稲田:
経営層のワークショップで、少し変わったメディアフォースの年表を作ったのですが、そこから共通項を抽出し、メディアフォースに脈々と流れる思いや価値観を物語として構成した「ナラティブ(※)」を書きました。

ワークショップに参加していない社員の人たちにとって「熱量」は急に出てきたキーワードなので、言葉だけ聞いても納得感がないだろうと思ったんです。そこでメディアフォースという会社の歴史や、皆さんが積み重ねてきたことと合致させて「だから、熱量というキーワードが重要なんです」とお伝えしました。

※企業の歴史や想いを「語り手自身が紡ぐ一つの物語」として言語化したもの

メディアフォース 家喜さん:
このナラティブは、間違いなくプロジェクトのターニングポイントでした。稲田さんは週2回の定例ミーティングの冒頭で、毎回数分かけてナラティブを読み上げてくれたんですが、その内容に感動しました。

メディアフォース 森さん:
稲田さんに初めてナラティブを読んでもらったとき、僕はZoom越しに泣いていましたからね(笑)。驚いたのは、自分が在籍していなかった時代のことにも触れているのに、まるでその場にいたかのような「追体験」ができたことです。過去の歴史が、現在の自分の一部としてつながった感覚があり、抽象的なVMVが、等身大の自分たちの言葉として説得力を増した瞬間でした。

「熱量」という言葉だけでは、人によって想起するイメージが変わりますし、ともすれば想定していない文脈で使うこともできてしまいます。しかし、ナラティブが「解釈のガイドライン」となることで、熱量という言葉が曲解されることはなくなります。現在は社内のNotionやブログに掲載して、社員がいつでも読めるような状態になっています。

ナラティブの作り方の説明

──ナラティブによって、社員共通の認識ができたのですね。「熱量」をロゴに落とし込むプロセスはどのように行われましたか?

Goodpatch 中林:
手を動かす前に、ワークショップを2回ほど実施しました。VMVが決まった後、改めて「メディアフォースにとっての『熱量』の定義とは何か」を深く話し合い、メンバー間での解釈を揃えるところから始めました。

デザインの核となるモチーフは、「force」の頭文字である「f」です。3つの「f」が連なることで、社名の頭文字である「m」を形作っています。この3つを螺旋形に配置したのは、より良く変わっていくための仕組みのプロセスに人が介在することで熱が生まれ、その熱が伝播していく、というナラティブにあったストーリーを造形に落とし込んでいるため。オレンジから赤へと変化するグラデーションによって、じわじわと広がっていく「伝播する熱量」を視覚的に強調しています。

ロゴの由来の説明

──なるほど。以前の「知的でクールな青」から、真逆とも言える「暖色」へとコーポレートカラーを一新することに抵抗感はありませんでしたか?

メディアフォース 家喜さん:
暖色系に変わることへの抵抗感は、社内でもほとんどありませんでした。それは、このデザインがナラティブや「熱量」という言葉と地続きであり、私たちが内側に持っていた「人間くささ」を見事に表現してくれていたからだと思います。

グッドパッチの皆さんとご一緒して、色や造形といった「デザインが持つ力」は本当にすごいな、と実感しました。ロゴ一つとっても、こんなに意味やメッセージを込められるのかと。そこに対して、自分たちがいかにこれまで無頓着であったかを痛感しましたし、中林さんたちの表現力には本当に感銘を受けました。

色やトーンも一新 事業内容ではなく、自社の「価値観」を打ち出すコーポレートサイト

──ロゴやブランドステートメントが刷新した後は、コーポレートサイトのリニューアルに進むわけですが、ここはプロジェクト開始当初はスコープに入っていなかったと伺っています。新たなVMVができたことで、自然とコーポレートサイトも変えていこうという流れになったのでしょうか。

メディアフォース 家喜さん:
VMVやロゴがこれだけ劇的に変わりましたからね。知的でクールな「青」を基調とした旧サイトでは、実態と合わなくなってしまったんです。ロゴ制作と合わせて、会社紹介のパンフレットを稲田さんたちと一緒に作っていたので、サイトのコンテンツについては議論することはほとんどありませんでした。

その分、見せ方については議論を重ねましたね。「どうすれば自分たちらしくなるか」を問いながら、改行の位置まで検討したのは印象深いです。

Goodpatch 稲田:
見出しの文字の間隔を「あと1ピクセル開けられないか」など、絶妙な調整を繰り返しましたね。クライアントとこんなに細部まで議論する機会はなかなかありません。

もう一つ特徴的だったのが、リニューアルのKPIです。一般的には、資料ダウンロード数や問い合わせ数などが指標としてよく使われますが、家喜さんからは「メディアフォースがどういう会社か、しっかり伝わるサイトにしたい」とリクエストをいただきました。そこで「何をしている会社か」よりも「何を大事にしている会社か」を前面に押し出す構成にしたんです。

メディアフォースの新ウェブサイト

──サイトを拝見したのですが、VMVの説明やロゴのコンセプトといったコンテンツが、目立つ場所に置かれていて、いい意味で「尖っている」というか、同業他社ではあまり見ない構成になっているなと感じました。

メディアフォース 森さん:
私たちが展開しているSI事業やSOL事業は、仕事内容そのもので他社と差別化を図るのは難しいです。だからこそ、事業内容よりも私たちの「考え方」や「スタンス」を打ち出す方が、メディアフォースの魅力が伝わると考えました。自分たちのブランドを大切にしていることが、結果的に他社との差別化になると思ったんです。

──リニューアル後、社内外からはどのような反応がありましたか?

メディアフォース 森さん:
お客さまからは「御社っぽいね」と言っていただけました。サイトから感じ取れる「質感」が、僕たちの人となりを伝えてくれています。この「っぽさ」が届いている時点で、リニューアルは十分成功だと思いました。

採用サイトもメディアフォース「らしさ」を全面に 「静かな熱量」を表現するための工夫

──さまざまな取り組みを経て、コーポレートサイトリニューアルの後はついに「本丸」、当初の課題であった採用の改善に進んだんですよね。どのようなプロセスで採用課題を紐解いていったのでしょう?

Goodpatch 稲田:
まずは採用担当者や人事の方にインタビューを行い、採用の課題や欲しい人材像を掘り下げていきました。その後、現場の若手社員の方を交えたワークショップも実施し、皆さんの中に採用したい人材像がはっきりとあることがわかったので、それらを採用サイトの表現と結びつけていきました。

以前の採用サイトは「未経験者歓迎」「研修充実」といったメッセージを強調していたのですが、本当に皆さんが採用したいと考えていたのは「未経験からエンジニアになりたい」人ではなく、「自分の考えや自分のやりたいことを、自分の言葉で伝えられる人」。その人たちを振り向かせるために、サイトの隅々にまで「メディアフォースらしさ」が反映されるよう注力しました。

ワークショップの様子

ワークショップの様子

Goodpatch 中林:
デザインのディレクションをする上では、写真のトーンや質感にもこだわりました。「人」の熱量を大事にしている会社なので、サイトの中にも自然と「人」が入ってくる感じを出したくて。

撮影現場では、社員の皆さんがとても自然に、かつ堂々とされていたのが印象的でしたね。ポーズの指示やディレクションはほとんど必要なかったです。やっぱりメディアフォースの強みは「人」なんだ、と感じました。

新しい採用サイト

Goodpatch 稲田:
採用サイトで「人が特徴の会社です」と打ち出したいとき、ともすれば社員の皆さんがカメラ目線でポーズを取っている写真をイメージするかもしれませんが、森さんが「いかにも集合写真って感じの写真は嫌なんです」とはっきりおっしゃったのを覚えています。

メディアフォース 森さん:
絶対に嫌でしたね。僕たちの「熱量」は、バーナーで激しく燃え上がるような熱ではない。もっと静かに、じわじわと温かさが広がる「焚き火」や「炭火」のようなイメージである、というのがワークショップを通してできた共通認識でしたから。

Goodpatch 中林:
その「静かな熱量」を表現するために、採用サイトではカメラ目線の写真は意図的に避けています。こちらを見ている写真は圧が強いので、手元や後ろ姿、あるいは人が集まって話している「間(ま)」を切り取るような構図にしています。

Goodpatch BXデザイナー 中林

Goodpatch BXデザイナー 中林

嘘のない共感の連鎖 選考辞退者が減り、面接官をする社員への「想定問答集」も不要に

──採用ブランディングおよび採用サイトのリニューアルを実施した結果、定性的・定量的な成果は表れていますか?

メディアフォース 家喜さん:
まず、応募者の志望動機が変わりました。以前は「研修制度が魅力で」といった答えが多かったのですが、今は「価値観に共感しました」と語ってくれる人が増えています。エンジニアになることが目的ではなく、「メディアフォースで働くこと」に魅力を感じている人が増えているのかもしれません。

メディアフォース 森さん:
先輩社員と話したり、当社の採用サイトで私たちの本気度や文化に触れた方は、必ずと言っていいほど一次面接通過後に辞退をほぼせずに次のステップに進んでくれます。

社内側の変化としては、担当者だけでなく、メンバー全員が採用活動に関わるようになりました。過去には事前に予想される応募者からの質問と、それに対する模範解答をまとめた「想定問答集」を用意したこともあったのですが、全員が納得できるVMVができあがった今、VMVに共感してくれている社員には「思ったことを正直に話してくれればいい」と伝えるだけで、あとは本人に任せています。

──それはすごい。結果的にマッチングの度合いも上がっているし、準備にかかるコストも下がっているんですね。

Goodpatch 稲田:
それにルールで厳しく言動を縛られるより、自分なりの解釈で動ける方が仕事も楽しいし、クリエイティブなことができますよね。VMVの抽象度が高いからこそ、その人なりの答えが導き出せるのだと思います。

Goodpatch BXコピーライター 稲田

Goodpatch BXコピーライター 稲田

メディアフォース 家喜さん:
そうですね。以前は事細かに具体的な内容で共通認識を持とうとしていましたが、その抽象度が上がったことで「これは私たちのビジョン・ミッションに沿っているのか」と問いやすくなったと感じています。

そして、自社のビジョンやミッションを自分なりの言葉で語れる社員が面接に出てくることが、おそらく他社との差別化にもなっているんだと思います。今まではこれができなかった。ビジネスモデル自体は差別化しにくい領域ですし、社内制度だけなら他社でもいいわけですから。

メディアフォース 森さん:
「自分の言葉で話していい」と言われると、会社に対するロイヤリティが上がりますよね。二次以降の面接を担当すると「一次面接で社員の方にこういうアドバイスをもらいました」と言う人がいるんですよ。やはり、当社にはいい意味でおせっかいな人が多いなと感じますし、一次面接を担当した社員が、相手を品定めするのではなく、自分なりの熱量を持って相手に接した結果だと思います。

──素晴らしい波及効果ですね。VMVを策定したことで、採用以外の部分に何か影響はありましたか?

メディアフォース 森さん:
新たなVMVに合わせて、評価制度も見直す動きが出てきています。「人の可能性を信じる」や「手順を尽くす」といった7つのバリューを達成するために必要な能力を抽出して、社内の指標である「期待行動評価」とリンクする設計にしています。

本質的な「遠回り」がもたらした、未来への確かなハンドル

──このプロジェクトは、採用課題という入り口から、VMVの策定というある意味で遠回りなアプローチをとったことで、1年以上にわたる長い道のりになった面があると思います。振り返ってみて、ある意味「遠回りな道」を選択したことについて、どのように感じていますか?

メディアフォース 家喜さん:
VMVによって社員みんなが共通のイメージを持ち、自分の言葉で自社を語れるようになった。この社内の変化がとても印象的でした。グッズが作られたり、コミュニケーションツールのアイコンやスタンプにロゴが使われたりと、みんなすごく愛着を持ってくれています。

心強いのは、この一連のブランディングプロジェクトに取り組んだメンバーが社内にいること。VMVを自分の言葉で語れる人が増えたことは、採用だけでなく、新しいメンバーが入社した後のブランディング活動にもきっと良い影響を及ぼしてくれると思います。

メディアフォース 森さん:
最初にご相談させていただいたときに「VMVから着手する必要がある」と言われたのは正しかった、と実感しています。私たちもSlerとして、お客さまの課題の根幹から取り組むようにしているので、そこに踏み込むのは勇気がいると理解しています。

グッドパッチの皆さんは、現場の温度感や社員同士の関係性など、非言語の情報を大量にインプットしていて、みんなが「何を話したか」だけでなく「どんな空気感でその話をしているか」まで見てくれていましたよね。その積み重ねがあったので、混じり気のないキーワードやVMVができたのだと思います。

Goodpatch 稲田:
そう言っていただけてうれしいです。時に私たちの立場に立って「こういう展開に持っていけばきっと上に通せるはずです」とアドバイスをくださったこともありましたよね。グッドパッチが力を発揮できたのは、メディアフォースの皆さんが私たちの提案を受け止めてくださったおかげです。本当にありがとうございました。

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